遺言・相続手続き
むつ市の相続のことなら
【相続手続き】
step1:【調査】 |
相続が開始したら、遺産分割協議の際に必要となる情報や資料を集めることから始めましょう。調査は大きく分けると「遺言書の確認」「相続人の調査」「相続財産の把握・評価」という3つのやるべきことがあります。
─死亡届の提出─
被相続人(故人の方)がお亡くなりになられたら、まず何よりも先に死亡届を提出しましょう。これは、「被相続人が死亡した事実を知ってから7日以内に死亡届を提出しなければならない」と法律で定められているためです。
─遺言書の有無の確認─
死亡届を提出したら、必ず被相続人が遺言書を残していないかを確認しましょう。手続きが進んでから遺言書が見つかると、手続きを1からやり直すことになり大変です。
*もし遺言書が見つかったら・・・
中身を開けずにすぐに家庭裁判所に提出してください。(ただし、公正証書遺言の場合は家庭裁判所への提出は不要です。)遺言書の提出を怠ったり、遺言書を提出せずに遺言を執行したりした場合には、5万円以下の過料の支払いを命じられることがあります。また、状況によっては相続人から外されてしまう可能性もあるので注意が必要です。
─法定相続人の調査─
「法定相続人」とは、「法律上で定められた、相続で財産を受け継ぐことができる人」のことをいいます。遺言書が残っているかどうかの確認と並行して、被相続人の戸籍を取り寄せ、この法定相続人が何人おられるのか明確にしましょう。もし後から法定相続人が見つかる(例、被相続人が養子をもらっていた、隠し子を認知していた、など)と、それまでに行った手続きをやり直さなければならず、また最悪の場合にはトラブルに発展することもあるので注意が必要です。この段階で相続関係図を作成しておきましょう。相続関係図があると相続人間の関係性などが分かりやすくなり、相続割合の計算などが進めやすくなりますし、不動産の相続登記の際に添付する資料にもなります。
─相続財産の調査─
法定相続人が確定したら、相続財産を把握し、それらの資産価値を評価しましょう。相続財産は「資産」だけでなく、「負債(借金など)」も必ず調査しなければなりません。借金も相続の対象となりますので、漏れや誤りのないよう慎重に相続財産調査を行いましょう。もし後から新たな相続財産が見つかった場合、遺産分割協議を再度行わなければならず、場合によっては相続税の修正申告を行う必要が出てきます。ここでは不動産の登記事項証明書の取り寄せ(相続財産の中に不動産がある場合)と、財産目録の作成をしておきましょう。不動産の登記事項証明書は、その不動産の権利関係を確認することができるものですので、遺産分割協議の際に重要な情報となります。財産目録(相続財産調査の際に把握した資産・負債をまとめ、一覧に記載する書類)は法律上必要ではありませんが、遺産分割協議が進めやすくなったり、相続放棄の判断にも大きく役立ちます。
step:2【遺産分割協議】 |
調査が終われば、次に遺産分割協議を行います。相続調査の結果を元に各相続人が遺産を相続するかしないかを決め、相続する場合は「誰が」「何を」「どのくらい」相続するのかについて話し合います。
─相続方法の選択─
把握した相続財産を見ながら、それぞれの相続人ごとに財産を「相続する」か「放棄する」かを選択します。財産を相続する場合はさらに、「全てを相続する(=単純承認)」か「法律に定められた限度内で相続する(=限定承認)」かを選択します。
※これらは、相続人が相続開始を知った時から3ヶ月以内に行わなければなりません。
・単純承認=資産(預貯金などの「プラスの財産」)と負債(借金などの「マイナスの財産」)の両方を全て相続します。
・限定承認=「プラスの財産」の範囲内で「マイナスの財産」を引き継ぐという条件付きでの相続となります。(ただし、相続人が2人以上いる場合に限定承認をしたい時は、相続人全員が限定承認を選択する必要があります。)
・相続放棄=相続を全面的に拒否することになるため、プラスの財産を一切引き継ぐことができませんが、マイナスの財産も一切引き継ぐことがありません。相続を放棄する場合は、その相続人は家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出しましょう。
─遺産分割協議と書類の作成─
遺産(相続財産)は被相続人が亡くなることで、各相続人で共有することになります。そしてそのままでは相続財産は、預貯金は払いだせず、不動産の売却は出来ません。相続を承認した相続人全員で、相続財産をどのように分けるかを話し合いましょう。(相続財産を分けることを「遺産分割」、そしてこの話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。)遺産分割協議は相続人が1人でも欠けると無効となってしまいます。相続人調査に抜け漏れがないよう、そして欠席者がいるにも関わらず協議を進めるなどといったことのないよう、注意してください。協議のすすめ方は、電話や手紙などの手段をつかってすすめることもできますし、文書を持ちまわる方法でもかまいません。もし遺言書が残されている場合には、その遺言書に記載されている内容に従い遺産分割を行うのが原則となっております。この協議の内容を記載した正式な書面を遺産分割協議書といい、相続人それぞれが相続した遺産の名義変更に必要となります。そして遺産分割協議書には、相続人全員が納得のうえ全員の署名と実印により押印し、その際相続人それぞれの印鑑証明書が必要となります。 遺産分割協議をしないで長期に放っておくと更に代替わりをしてしまい、当事者の人数が増え話し合いでのスムーズな解決が困難になるおそれもあります。そこで、できれば相続税申告の期限である10ヶ月以内をめどに、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成することをおすすめいたします。
※相続人の中に行方が分からない人がいるため遺産分割協議が出来ないときは、家庭裁判所に対して不在者財産管理人の選任を申し立てるという方法があります。不在者財産管理人が選任された場合は、この不在者財産管理人が、不在者の代わりに遺産分割協議に参加して遺産を分割します。
※未成年者が相続人の場合、原則としてその未成年者の親権者が代理人として意思決定を行うものとされています。ただし、親権者が相続人になり、さらにその親権者の子供(未成年者)も相続人となる場合には、その親権者は代理人となることはできません。この場合は、家庭裁判所に「特別代理人」を選任してもらい、遺産分割協議を行うことになります。
step:3【名義変更などの手続き】 |
─相続財産の名義変更─
遺産分割協議書を作成次第、相続した財産の名義変更の手続きを行いましょう。以下に代表的な手続きと、その際に必要とされる書類の一般例を記載しております。(※状況や相続方法によって、必要となる書類は以下の記載から増減します。)
─相続税の申告手続き─
相続によって受け継いだ財産に対して課税される税金のことを、「相続税」といいます。相続税は、受け継いだ財産が「基礎控除額」以下である場合には、申告や納付の必要はありません。
・基礎控除額の計算方法
3000万円+(600万円×法定相続人の数) ※平成27年1月1日以降の相続より
たとえば相続人が配偶者(被相続人の夫や妻)と子供2人である場合は、以下のように「4,800万円」が基礎控除額であると計算されます。
3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
この場合遺産の総額が4,800万円を超えなければ、相続税の申告や納付をする必要はない、ということになります。
・相続税の申告期限
受け継いだ財産が基礎控除額よりも多い場合は、すぐに相続税額を算出し、税務署への申告・税金の納付を行いましょう。相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」とされています。期限内に申告を行わなかった場合、加算税や延滞税がプラスされてしまいます。相続手続きを行われる際には、この期限にも注意しましょう。
【遺言書作成・執行】
次のようなケースでは遺言を作成しておくことをおすすめします。
1、推定相続人以外に遺産を配分したいとき
・子どもの配偶者に財産を分けてあげたい場合
・内縁の妻(夫)がいる場合 など
世話になった息子の嫁や内縁の妻(夫)には相続権がありません。推定相続人以外に財産を分けてあげるのには、遺言で遺贈する方法があります。
2、夫婦間に子供がない場合
子どもがない夫婦の一方が亡くなると、残された配偶者の他に親や兄弟姉妹が法定相続人となる場合があります。兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言により配偶者に全財産を相続させることが出来ます。(遺留分とは相続財産に対して保障される割合のことです) 親には遺留分がありますが、遺言があればより多く配偶者に遺産を相続させることができます。
3、事業承継をスムーズに行いたいとき
個人事業や農業経営などでは、相続によって資産が分散して経営が成り立たなくなるおそれもあります。事業や会社の継続、農業経営の継続のために、事業の承継者である相続人に特定の財産(工場、事業所、農地など特定の土地・建物等)を相続させたいときにも遺言が有効です。
4、遺産分割協議がスムーズにいかないと推定される場合
たとえば、相続人同士が不仲な場合とか、行方がわからない相続人がいる場合などは遺産分割協議がスムーズに進みません。また、法定相続分で分割することでは協議が一致しても、誰が何を取得するかはなかなかまとまらないケースも多いです。遺言で、全ての財産についてそれぞれの承継者を決めておけば遺産の分割がスムーズにいきます。
5、相続人がいない場合
遺言がなければ国に帰属することになりますが、遺言により親しい人への遺贈や慈善団体への寄付も可能になります。
step:1【調査】 |
「どういった財産がどこにあるのか」「相続の権利を持っているのは誰なのか」「財産を誰に譲りたいか」を明確にします。
─財産調査をする─
まずは、ご自身が現時点でどのような財産を持っているのかについて把握し、財産目録という書面を作成して記録に残しておきましょう。その際には、できればそれらの財産がどのくらいの価値を持っているのかについて評価しておくと良いです。ここである程度財産を把握しておかないと、遺留分の問題などにより、遺言書の内容通りに相続がなされないことに繋がる可能性があります。また、それらの財産がどこにあるのかについても書き残しておくことをおすすめします。遺言を執行する際に、財産目録に書かれた金銭や物がどこにあるのかについて分からないということが起こるためです。遺言を執行する際のことも考えて、準備をするようにしましょう。
─相続人を把握する─
相続人が誰で、通常(遺言書を書かずに、法律上の規定に従って相続を行う場合)であればどのような遺産分割が行われるのか、そして遺留分を請求できるのは誰で、それはどのくらいの権利があるのかについても先立って把握しましょう。相続人に関する情報を知らずに遺言書を書いた場合、遺留分の問題によって、遺言書の作成者のご意思の通りに相続がなされない可能性が出てまいります。また、最悪の場合は、「相続争いを予防するため」に作成する遺言書が、「相続争いの原因となってしまう」こともありますので、情報に抜けや漏れがないよう、しっかりと確認を行ってください。
step:2【遺言作成】 |
事前の準備が完了したら、いよいよ遺言書を作成します。遺言の方法は基本的に3種類ありますので、どの方法がご自身にとって最も適切であるかをまずは考えましょう。遺言書の種類が決まったら、ご自身の意思を遺言書にしたためます。その際には、法律(民法など)で定められた「遺言書に書くと法的な効力を発生すること」「遺言書に書いても法的な効力は発生せず、それが実行されるかどうかは相続人の方々次第のこと」がありますので、その点に留意して内容を考えましょう。
─遺言の種類と特徴─
─遺言に書くことが出来ること─
─遺言作成時のポイント─
1、遺留分に対する配慮
法定相続人の遺留分を侵害しないように遺言書を作成しておくほうが、後の相続人間での争いの予防にもつながります。遺留分とは法定相続人に保障される最低限度の財産分のことで、被相続人は自分の財産を自由に処分することができるといっても、後に残された遺族(相続人)の生活の安定および財産の公平な分配のために、法律で、兄弟姉妹を除く相続人に遺留分が保証されています。 遺留分を侵害された相続人は、遺言により余分に財産を取得した相続人や遺言による贈与を受けた人に対して、侵害された遺留分に相当する金額を渡すように請求することができます。(ただし、遺留分を放棄することも可能です)
2、相続させる財産を指定すること
不動産や金融資産などの財産を、たとえば「全財産を4分の1づつ相続させる」のように割合で相続させると書くと、誰が何を相続するのか分割するのに協議が必要となり、もめる原因にもなります。相続人ごとに何を相続させるのか、個別に相続財産を指定して遺言書を書くことをおすすめします。
3、遺言執行者の指定
遺言内容を確実に実行してもらえるように、遺言書で遺言執行者を指定しておくことをおすすめします。遺言執行者は、遺言者の死亡後、遺言の執行(遺言の執行とは、遺言書に記載されている内容を実現すること)に必要な一切の行為をする権利義務があり、他の相続人はそれに反する行為はできません。
4、予備的遺言による備え
相続人が先に亡くなる場合があるので、予備的遺言として次の人を指定しておくこともできます。遺言で財産を相続あるいは遺贈する相手方が、たとえば病気や突然の事故などにより、遺言者より先かあるいは同時に死亡した場合に備えて、次に財産を相続または遺贈する人を決めておくことを予備的遺言といいます。
5、第三者に財産を遺言で贈与する場合
第三者に財産を遺言で贈与する場合、遺言書に「相続させる」ではなく「遺贈する」と書くようにしましょう。
6、遺言書に記載のない財産への対応
遺言書に記載した財産以外に将来財産が増えたとしても、別途遺産分割協議をせずに済むよう、その際の相続方法を指定しておくほうがよいでしょう。「本遺言に記載した財産以外に遺言者の有する財産があった場合は、その財産の全てを誰々に相続させる」という一文を入れることにより、将来財産が増えたとしても新たに遺産分割協議をせずにすみます。
step:3【遺言の執行】 |
相続が発生した場合において遺言書が発見された際には、遺言の内容を実現するために様々な法的手続きを行う必要が出てきます。この「遺言書の内容を実現するために各手続きを行うこと」を、「遺言の執行」といいます。必要に応じて、遺言書によって指定された方や、家庭裁判所によって選任された方が「遺言執行者」となり、手続きを行います。遺言書を発見してから遺言の執行が開始されるまでに行う手続き(検認手続き)は、その遺言書の種類によって必要か不要かが異なりますのでご注意ください。
─家庭裁判所の検認─
相続開始後に遺言書が発見された場合、家庭裁判所の検認を受ける必要があります。検認は、全ての相続人に遺言書が存在することやその内容を知らせるとともに、遺言書の内容や日付、署名などといったことを明確にし、偽造や変造を防ぐために必要とされています。発見された遺言書が封印されている場合は、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもとで開封しなければなりません。この場合において、家庭裁判所の検認を受けていない状態で開封してしまうと、5万円以下の過料が課せられることがあります。遺言書の効力そのものには影響ありませんが、偽造や変造を疑われたりといった後々のトラブルに繋がりますので、注意するようにしてください。
※誤って家庭裁判所の検認を受けていない状態で遺言書を開封してしまった場合でも、検認手続きを受ける必要はなくなりません。その時の事情などを申述し、検認手続きを行う必要があります。
※検認の手続きは「自筆証書遺言」と「秘密証書遺言」の場合には必要ですが、公正証書遺言の場合は不要です。公正証書遺言の場合で、相続人が遺言書の正本または謄本を持っていないときは、公証役場に謄本の交付請求を行なってください。
─遺言執行者の就任─
相続人が複数いる場合において、相続人の間で利益が相反する遺言(ある相続人に多くの財産を相続させるなど)が残された場合や、相続人以外の第三者に遺贈をしたり寄付をする遺言が残された場合には、遺言執行者を選任することも多く行われます。これは、自身にとって不利益を生ずる相続人が手続きを行うと、遺言の内容通りの手続きが円滑に進まなかったり、感情面のもつれからトラブルに発展したりするといったことが起こりやすいため、利害関係のない第三者が手続きを進められるよう、民法で規定が定められているためです。
※ただし、「全ての財産を妻(夫)に相続させる」遺言がなされた場合など、遺言執行人が不要の場合もあります。
遺言書の中で指定されている場合には、その方が承諾次第、遺言執行者として就任します。また、遺言書の中で指定されていない場合は、利害関係人(相続人など)が家庭裁判所に請求し、遺言執行者を選任してもらいます。なお、遺言による「認知」、「推定相続人の控除・控除の取消」については、必ず遺言執行者が行う必要がありますのでご注意ください。
─遺言の執行─
遺言執行者は就任次第、以下の順番でその任務を遂行します。
1.相続財産の目録を作成し、相続人に交付する。
2.遺言の内容に則り、相続人に財産を分配する。
3.遺贈の受贈者に財産を引き渡す。
4.認知の届出を行う。
5.相続人の廃除や廃除の取消しを、家庭裁判所に申し立てる。
相続人は、遺言の執行が終わり次第、その報酬として遺言執行者に相続割合に応じた金額を支払います(報酬額は、遺言書で指定された金額か、家庭裁判所で定められた金額となります)。
~料金・報酬体系~